がんばる企業のご紹介

がんばる企業のご紹介

第10回

第10回

さて、「がんばる企業のご紹介」第10回目は・・・
「あいちアクセラレーター2018(※)」に採択されたスタートアップのかたをご紹介します。

※「あいちアクセラレーター2018」とは、新しい技術やアイデアを持つスタートアップ(ベンチャー企業)を募集し、5か月にわたる集中支援や、資金獲得・事業提携等につなげるための場を提供するとともに、愛知県内の既存産業企業とのマッチングを図り、新たなビジネスモデルの創出や技術革新を起こすようなエコシステムを生み出し「愛知発スタートアップ」を生み出していくためのプログラムです。

縁がもたらす円(企業価値)!愛知発ベンチャーの新たな挑戦

株式会社ピノベーション

代表取締役 鳥羽 伸嘉
業種 建築材料卸売業、機械器具製造・販売業
創業年月 平成28年10月
住所(本社) 愛知県名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館2F
住所(名古屋東オフィス) 愛知県名古屋市東区山口町9-15 603
営業時間 9:00~17:00
定休日 土・日・祝日
【取材日】R1.5.15 【取材者】経営支援部創業支援課 佐藤

Q:創業のきっかけを教えてください。


(左から)鳥羽代表、鵜飼取締役

 当社は、国内や深圳(中国)の提携工場と協力し、建築用資材の商社として、2016年10月に設立しました。
 きっかけは、実父が経営するモノづくり企業に勤めていた頃にさかのぼります。当時、私は営業回りのなかで、中小企業・小規模事業者から悩みの声を聞いていました。それは、毎月の資金繰りに頭を抱え、現場に目を向ける余裕がなく、現況から脱却することは簡単ではないといったことでした。
 経営者は、限られた経営資源を最大限活用することを考えますが、経営者の多くが本業である「経営」に専念できる環境にないことに問題がありました。このときから、安価な海外製品の台頭により、衰退に歯止めがかからない地元のモノづくり企業の力になりたいという想いが芽生えました。
 また、経営大学院に通っていた私は、その後事業を共に創り上げていく同士にも出会いました。現在の取締役である鵜飼ですが、彼女は当時、化学薬品メーカーの研究部門で自動車メーカーやTier1企業と仕事をしていましたが、製造業界特有のヒエラルキー構造に疑問を感じていました。彼女の巨大なサプライチェーンに一石を投じたいという想いと、私の中小企業者を助けたいという想いが融合し、「新たなIoTソリューションビジネスを通じて、日本の中小企業を変えたい」一心で当社を立ち上げました。

Q:事業のこだわりを教えてください。


左は初号機、右は現在のcountIT

 祖業を大切にする傍ら、新たな挑戦として中小企業向け金型IoTシステム「countIT(カウンティット)」の開発を進めています。これは、専用のデバイスとアプリにより金型の稼働データを収集、見える化し、金型が不調をきたす前に警告を発することができるIoTシステムです。製品の特徴は、比較的安価で、取り付け方法も簡易であることです。
 しかしながら、本当に実現したい世界は、中小企業にコスト負担をかけず、蓄積したデータから新たな付加価値を生み出し、その中小企業に関わるステークホルダーとWin-Winの関係をつくる「中小企業を中心としたエコシステム」を創り出したいです。具体的には、製造ラインの最適化を目指す成形メーカー、金型納品後の使用状況を把握することで新たな製品カイゼンにつなげたい金型メーカー、膨大な金型資産の管理に苦労されている金型ユーザーをcountITでつなぎ、連携することで新たな事業価値を創造できたらと考えています。

Q:あいちアクセラレーターに参加したきっかけ、その感想を教えてください。


DemoDayの様子(左の居合道着姿が鳥羽代表)

 募集テーマが当社の経営理念にぴったりだったことです。「愛知県内企業がこれまで培ってきたモノづくりの伝統や技術・技能の強みと、起業家のアイデアをかけ合わせることで、世の中に新しい価値を生み出す」といったことは、今まさに私たちが実現しようとしていることでした。
 アクセラレータープログラムの参加企業に決定してからは、プレゼン中心のDemoDay(成果発表会)を毎月3~4回の頻度で、5か月間繰り返しました。その間、東京と名古屋を行き来しながら、いただいた意見や新たな気づきをもとに試行錯誤を繰り返し開発を進めていくことは、大変でもあり、楽しくもありました。このプログラムを通して、私たちが実現したいと思い描いている世界の解像度は確実に上がり、成長できたと実感しています。情熱を持って取り組んでいる他のベンチャーの方々、大手IT企業や投資家のかたとも数多く出会うことで、ウェブアプリケーション構築や事業を遂行するために必要な多くのことを学ぶ機会となりました。
 また、2019年3月に名古屋能楽堂で開催された最終DemoDayでは、スタートアップ企業として集中支援を乗り越えてきた仲間と一緒に登壇しました。「能楽堂で映える」と意気込み、プレゼンには居合道着に、はんにゃのお面で挑みました。大村知事から「君は格闘家か」と声を掛けられたことは今ではいい思い出です(笑)。

Q:創業時や創業後に苦労した、または現在苦労していることを教えてください。


創業時の苦労を振り返るお二人

 経営資源のなかで、情報はもちろん重要ですが、「ヒト」と「カネ」は特に意識しています。
 新たな分野へ投資をするうえでは、既存事業がしっかりしたものではなくてはなりません。資金繰りがあるなかで、新たな分野を手掛けることはスタートアップ企業にとって大変なことです。取引金融機関の協力を得ながら乗り越えているところです。
 また、優秀なエンジニアの確保も重要課題です。金型の国内市場規模は4,000~5,000億円で、世界では8兆円にのぼります。countITで日本の製造業者の国際競争力をあげていくためには、やはり「ヒト」の観点はとても重要な要素です。
 ゆっくりと動く既存の事業と、countITのようなスピード感ある事業を両立させることは、モチベーションを維持するうえでも難しさを感じているところです。

Q:保証協会を利用した感想を教えください。

 金融機関から保証協会の説明を受けたとき、初めはどうして保証申込みが必要であるのか疑問でした。しかしながら、特に信用力の乏しい創業期の企業は、金融機関から融資を受けることは容易なことではないため、その弱みを補完していただけるありがたい存在です。
 そして、中小企業者は、補助金など有益な情報を求めています。保証協会にさまざまな情報が集まるプラットフォーム的な存在となることを期待しています。
 また、中小企業者自らが広報することは難しく、良い製品を作ってもなかなか目立つ機会がありません。今回のような取材は、当社にとって非常にありがたく、「取材を受ける企業」となることだけで、従業員の士気向上につながるものです。近い将来、当社の成長した姿を再び取材していただきたいです。

Q:現在の課題や今後の夢を教えください。


 現状の課題は、まず実証実験をしっかりと行い、市場にcountITを投入することです。また私たちの志は、モノづくり中小企業が本来の強みを高めていけるようなエコシステムを創ることです。
 countITは中小企業のコスト負担を最小限にとどめながらIoT化を実現し、それによって得られるデータから新たな事業創造を行うことで、モノづくり中小企業の持続的な成長を後押しできればと考えています。

創業する方へのアドバイスをお願いします。

 我々の使命は起業家として、世の中の価値観を変えるようなモノコトを生み出し続けることです。たとえば、大企業にいれば自由は少ないかもしれませんが、豊富な経営資源を使って、より大きな価値を世の中に提供することができると思います。つまり自分がどんな価値を世の中に提供したいかで、起業するのか、転職するのか、あるいは大企業に残るのかを選択すれば良いと思います。
 また、ひとりで考え過ぎないことも大切だと思います。やりたいことを言い続け、多くの人に相談することで、縁はできていきます。素晴らしい方たちとの出会いがあったからこそ今の自分たちがいると素直に思いますし、今後は世界に向けてもっと大きな円を創ることが、企業価値(円)をもたらすことになると思っています。人との出会いとつながりを大切にしてください。